EOS kiss Digital 初心者奮闘(?)記

kissが上手になりたいなっ☆ 



【その13:寄ってらっしゃい一眼さん】


・「買ったその場で」は悩ましいデジイチのレンズキット
唐突ですが、皆さんは「一眼レフデジカメ」、すなわち「デジイチ」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

一般的に、一眼レフカメラはコンパクトカメラと比べて「高性能」「高機能」というイメージが強いと思います。
ところが、標準的な構成で考えてみると、必ずしもすべての面でコンパクト機に勝っているとは限らないのです。

たとえば、「EOS kiss Digital N」や「EOS 30D」のレンズキットと、普及帯〜ちょっと高級なコンパクトカメラを比較してみると、基本的にはデジイチの圧勝なのですが、ほんのすこ〜し気になるところが出てきます。


・マクロに弱い
草花や小物を撮ろうとした時に、コンパクトカメラの場合は「マクロモード」で対象物に近づいて迫力ある写真が撮れますが、デジイチのレンズキットはある程度距離が離れていないとピントが合わない

・ちょっぴり暗い
レンズキットは安価に仕上げる必要がある宿命から、どうしてもレンズは暗くなりがちです。まぁコンパクト機も暗い機種が多いのですが、合計金額が高価なデジイチですので出来れば明るい方が嬉しいですよね。手ブレも減るし前後ボケも楽しめます。

・ズームが物足りない
普及帯のコンパクトでも光学3倍ズーム+デジタルズームは当たり前の時代、デジタルズームのない一眼レフで光学3倍程度の倍率というのはちょっぴり寂しい…

勿論、これらの問題は交換レンズを買えばすぐに解決します。

レンズを買えることで様々な撮影シーンに対応できるのも、最近のデジイチの特徴(※正確には「レンズ交換式のデジイチ」の特徴ですが…)ですから、ある意味では当然のことなのです。

しかし、レンズを何本も買うのは金銭的にも保管場所的にもそこそこ負担となりますし、撮影の度にレンズ交換を行うのは埃混入のリスクを伴います。

コンパクトカメラから一眼レフへ移行する最初の一本として考えれば、少しでも不満は少ない方が良い筈です。


・純正にはない魅力的なレンズが!
そんな中、今年に入って魅力的なレンズが発売されました。
SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO レンズ本体
「SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO」外箱。
いや〜新品レンズってあんまり買わないので箱付きだと嬉しいです(笑)
レンズ本体。
フィルタ口径は72mmと大きめ。

それが今回取り上げる、「SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO」です。

このレンズの特徴はいくつかあります。

普及帯の標準ズームでありながら、F2.8-4.5と他社同等レンズと比べてちょっぴり明るかったり。
APSサイズのカメラ専用ではありますが、17mmの広角撮影から70mmの望遠まで、コンデジで言う光学4倍相当が楽しめたり。
価格も驚くほど高価という訳ではないのも嬉しいポイントでしょう。

しかし、このレンズの最大の特徴はなんと言っても「コンパクトカメラ並みに対象物に近づける」ことではないでしょうか。

既にあちこちで取り上げられていますから、ポスターなどを見た方もいらっしゃるでしょう。
レンズぎりぎり、当たるか当たらないかの位置で撮影してますよね?本当に驚きです。

実際私も店頭で触ってその接写能力に惚れ込み、仕事のストレスという後押しから(爆笑)、ついつい購入してしまいました(笑)。

…ただ、実は店頭でレンズ確認してたら、在庫3つのうち2つに、内部ゴミを発見しました。
店員さんの御配慮でゴミが確認されなかった物を渡して頂けましたが、やはりレンズ購入時はゴミチェック必須なんだなぁ、と痛感した次第です。

標準レンズ達
左から順に
EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM
EF 28-80mm F3.5-5.6 II USM
SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO

ということで無事新レンズを入手した今回は、所有する「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM」「EF 28-80mm F3.5-5.6 II USM」の二本を参考に、マクロ撮影に特化して試写してみました。


EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM」は、過去に何度か出てきていますね。「EOS kiss Digital」(初代の方ね)のレンズキットに使われているレンズです。

デジタル専用マウントであるEF-Sを採用し、小型・軽量化されたキヤノンの標準レンズです。
EOS 20D や EOS 30D のレンズキットでも同等レンズが使われていますので、EF-Sマウントのデジイチを買った人が最初に触るレンズになることが多いと思います。


EF 28-80mm F3.5-5.6 II USM」は、「その1:中古レンズどうでしょう?」で扱ったレンズですね。
銀塩時代の標準レンズですが、勿論今でも使えます。ただ、EOS 5D のようなフルサイズデジイチ以外だと35mm換算で44.8mm相当になってしまうので、広角域が厳しいかも知れません。


撮影風景 被写体
撮影はこんな感じ。 今回の被写体、PENTAXの超小型一眼レフ「auto110」
そのうちこの子についても扱いたいです☆
実際の撮影は、右の写真のような感じで行いました。

利用しているのはエツミの「ドームスタジオS」という簡易撮影スタジオです。
オークション出品用の写真を撮るときや、お子さんが図工の時間に作った作品を写真に収めるときなど、家庭で気軽に「物撮り」が楽しめるスグレモノです。

尚、今回の撮影での光源は写真右上に写ってる卓上蛍光灯のみなので、レンズの影が映り込んでいることがあります。
この点はご了承下さい。


尚、被写体にはPENTAXの超小型一眼レフカメラ「auto110」をチョイスしました。これでしっかりレンズ交換できるのは凄いですよね〜。

…ちなみに、当初は株式会社スクウェア・エニックスのキャラクターぬいぐるみ(黄色いスライムね)を予定していましたが、撮影した写真を個人のサイトに載せることが禁止されていた為断念しました。
今回のような接写限界を見極める撮影の場合はレンズに当たってもダメージが少ない、柔らかい物が良かったのですがね…


撮影には EOS 20D を使用。とにかく暗いので、ISO3200で撮影してあります。

※なお、以下の作例でコメント欄が水色の物については、リンク先の画像は無加工(ファイル名のみ変更)になります。


【作例1:ワイド端の接写限界】

SIGMA 17-70mm 広角 EF-S 18-55mm 広角
【SIGMA 17-70mm ワイド端】

1728x1152 / 1/200秒 / F2.8 / ISO3200 / 17mm
【EF-S 18-55mm ワイド端】

1728x1152 / 1/250秒 / F3.5 / ISO3200 / 18mm

EF 28-80mm 広角  
【EF 28-80mm ワイド端】

1728x1152 / 1/200秒 / F3.5 / ISO3200 / 28mm

まずは、広角側の撮影です。


今回の趣旨は「接写能力のチェック」ですから、とにかく被写体に近づいてます。
AFでピントが合わなくなるぎりぎりまで近づいての撮影なので、焦点距離と被写体の大きさが一致していないんですね〜。

さて、ぱっと見て分かるのが、SIGMAの接写能力の強さですね。
3つの写真の中で、SIGMAが最も大きく写ってる=最も近づけているのがお解りだと思います。

また、SIGMAは開放F値が2.8ということもあり、カメラ左上の「auto110」の文字のボケが他の2つより強くなっています。
広角で撮りたいけど後ろはぼかしたい、と言う時には効果的かも知れませんね。



【作例2:テレ端の接写限界】

SIGMA 17-70mm テレ EF-S 18-55mm テレ
【SIGMA 17-70mm テレ端】

1728x1152 / 1/30秒 / F4.5 / ISO3200 / 70mm
【EF-S 18-55mm テレ端】

1728x1152 / 1/40秒 / F5.6 / ISO3200 / 55mm

EF 28-80mm テレ  
【EF 28-80mm テレ端】

1728x1152 / 1/50秒 / F5.6 / ISO3200 / 80mm


次はテレ端、つまり最大ズームした場合の接写限界です。


とにかくSIGMAの近づき加減が恐ろしいことがお解り頂けるでしょうか?

この写真、あと数十ミリ動かすとレンズ前面の保護フィルターと被写体が接触してしまいます(汗)
これだけ寄れれば、かなりの物に対して拡大撮影が可能だと思います。他の二つとは明らかに違う世界です。

あとは、写真だけ見るとEF 28-80mmの写真が思ったほど寄れていないですね。
本来、55mmと80mmでは80mmの方が大きく写るはずなのですが、最短距離が負けているので、EF-S 18-55mmの方がマクロな写真が撮れています。

・おまけ
COSINA 100mm F3.5 MC MACRO
「COSINA 100mm F3.5 MC MACRO」
正確なレンズの型番は違うかも…
…さて、今回のレンズは「SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO」の名が示す通り、マクロ撮影も視野に入れたレンズですが、実は我が家にはコシナの単焦点マクロレンズ「COSINA 100mm F3.5 MC MACRO」と言う物があります。

だいぶ前に都内の中古ショップで購入した物ですが、とにかく軽く、また口径49mmということでクローズアップレンズも入手しやすく、花の接写撮影や昆虫撮影などを楽しんでおりました。

しかーし!
今回のSIGMAのレンズは、少なくとも撮影最短距離ではこの100mmマクロを凌駕しています。

そこで、実際にCOSINAのレンズでも撮影してみて、写真としての出来上がりを比べてみることにしました。


【作例3:テレ端/COSINAとの比較】

SIGMA 17-70mm テレ COSINA 100mm
【SIGMA 17-70mm テレ端】

1728x1152 / 1/30秒 / F4.5 / ISO3200 / 70mm
【COSINA 100mm】

1728x1152 / 1/25秒 / F3.5 / ISO3200 / 100mm

COSINA 100mm+クローズアップレンズ  
【COSINA 100mm+クローズアップレンズ】

1728x1152 / 1/50秒 / F3.5 / ISO3200 / 100mm


…同じ位置からの撮影じゃなくて、分かりにくいとは思いますが…
orz


やってみると、SIGMAの70mm時とCOSINAの100mmは、それほど大きな違いはないように思われます。

勿論、開放F値がSIGMAのF4.5に比べてCOSINAはF3.5と明るかったり、細かいMFはCOSINAの方がやりやすい印象もありますが、アマチュアが気楽にマクロ撮影したいという意味ではSIGMA 17-70mmで十二分に活躍してくれると思います。


一方、更なる"寄り"を求めようとすると、COSINA+クローズアップレンズの威力は絶大です。

勿論、SIGMAでもクローズアップレンズは利用できますが、72mm用となると49mm用に比べて倍近い金額がしますからね…
レンズ一本買うよりは遙かに安いですが、そこまでこだわってマクロしたいなら単焦点レンズあった方が良いような気もします。

・APS専用標準ズーム市場は開花するか
さて、今回は接写に絞ってみてきましたが、総じて思ったのは「これなら常用レンズとして十分使えるなぁ」という点ですね。

超音波モーターではない、とか、フルタイムMFが出来ない、とか、そういう細かい点はありますが、そんなこと言ってたら4万程度の予算では買えませんからね。
広角17mm F2.8であることを考えれば、十分に使えるレンズだと思います。


しかし一方で、気になる点もあります。

下の写真は、先日池袋にて撮影した写真です。左が EOS 20D、右は知人の EOS D30 を借りて広角17mmにて撮影しています。

EOS 20Dでの屋外撮影 EOS D30での屋外撮影
【EOS 20D】

3504x2336 / 1/3200秒 / F2.8 / ISO100 / 17mm
【EOS D30】

2160x1440 / 1/4000秒 / F2.8 / ISO100 / 17mm

ご覧のように、周辺部の光量落ちが結構目立ちます。

撮影モードが絞り優先AFでカメラ任せであることや、曇り空でそもそも明るくなかったこともありますが、デジタル専用設計でこの光量落ちは、人によっては気になるかも知れません。

ただ、多少絞れば解消されそうな気もしますし、要は使い方だと思います。


恐らく今回のレンズは、APSサイズに絞っているからこそ出来た価格&性能だと思います。
EOS 5D のようなフルサイズデジイチも出てきましたが、初心者がいきなり買うにはちょっと敷居が高い商品です。

願わくば、各カメラメーカー純正の標準レンズが、同じ性能まで追いついてきて欲しいのですが…純正でってのは厳しいのかなぁ。
上記光量落ちみたいにどっか妥協しないと作れない商品なんですかねぇ…?


そう言う意味では、わざとボディ単体で購入して、レンズはこいつのような「レンズメーカーの物を買う」というのも一つの選択しかも知れませんね。

<2006.04.18 ななぼん>


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